【安全対策】産業用ロボットの危険性と特別教育の実施

ranelte

2021年11月30日 16:25

近年、産業用ロボットを導入し、生産設備等の自動化を図ることが一般的になっています。特に、危険・有害な作業を産業用ロボットが代替して行う事業場にあっては労働災害防止に寄与し、その効果が大いに期待されます。

しかしながら、産業用ロボットによる死亡災害も発生しており、その原因調査等によると産業用ロボットは従来の機械と異なる次のような危険性を有していることが判明しています。

①取扱者の知識の不足は誤操作等、不安全行動の原因になる
②ロボットの動きが速く複雑なものが多いため、動作の方向等が判断できない
③設置条件によってはノイズ等による制御回路に異常が発生する
これらの危険性に対し安全対策として、労働安全衛生法が改正されました。

その内容は「産業用ロボットの運転中は、人とロボットを隔離する」、「産業用ロボットを取り扱う者には特別教育の実施」が義務付けられました。

産業用ロボットを取り扱うにあたってこの2つが安全対策の基本です。

教示作業時において想定される災害

・マニピュレータと治具の間などに挟まれる
・マニピュレータの不意の動作に打たれる
・教示作業中にマニピュレータに接触し転倒や墜落する
・制御装置の一次側入力線の絶縁不良で感電する
といった災害があります。

そのほかにも、研削ロボットによる じん肺、騒音、塗装ロボットによる 中毒、火災、溶接ロボットによる やけど、火災などが想定されます。

この中で「挟まれ」と「殴打」が多く発生しています。この2つの力は意外と大きく、速度や当たり所によっては重大災害になる可能性が大きいです。これらの災害はロボットの可動領域内での作業である為に起こる危険であり、もし全ての作業が可動領域の外から行う事ができたら、ロボットが誤操作を起しても、ロボットが壊れたり、設備が破損するだけで人間に危害は及びません。ですが、教示作業はロボットに接近しての作業になる為、これからお話しする危険性や対策、作業ルールなどの順守が非常に重要になります。

教示作業中の危険性と心構え

(1)教示作業時の危険性と心構え
教示作業は次の2つの要因のどちらかが満たされていれば安全に作業を行うことができます。

①教示作業中は駆動源(サーボ電源)が入らない
②可動領域の外から教示作業の全てができる
しかし、産業用ロボットの教示作業はほとんどの作業を駆動源(サーボ電源)が入ったままでの作業になり、また、産業用ロボットの可動領域内での作業にならざるを得ません。2つの条件とも満たされない危険な作業といえます。そのため、教示作業時は常に「産業用ロボットはいつ動くかわからない」という危機感を絶えず持って「もしもの誤動作に対する対策」を考えておく必要があります。

(2)教示作業時の心構え
「もしもの誤動作に対する対策」は非常停止装置などの設備面での対策も重要ですが、作業者自身の心構えも重要です。

その1つは「緊張感を持って教示作業を行うこと」です。また、教示作業中はツール先端のみに注意するのではなく産業用ロボット全体に意識を広げ予測せぬ危険を常に意識の中に置きながら作業を続ける必要があります。
人間の特性として、1つのことに集中しているときには、どうしても周辺への配慮が欠けたり疲れが増大したりすることは避けられません。そのため、時には休憩を取り入れ、体力と意識のリフレッシュをするなどして教示作業中は緊張感を持った作業ができるように努めてください。

安全対策を定める規律と規格について
産業用ロボットにはこうした危険性があるため、安全に扱うための法律と規格が定められています。

労働安全衛生規則第150条の4 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等産業用ロボットの運転中を除く)において、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずる恐れのあるときは、さく又は囲いを設ける等、危険を防止するために必要な処置を講じなければならない。
例えば、事業者は物理的な柵以外に、ロボットを安全に運転させるためのルールを策定する必要があります。

ISO10218(JIS B 8433) この規格には、ロボットの設計や製造における安全性の保障や、ロボットに関する基本的な危険源や関連するリスクを低減するための要求事項が記載されています。
つまり、産業ロボットと人は、さく又は囲いによって分離する必要があります。

特別教育の実施
業務で産業用ロボットに携わる従業員は、安全のための特別教育を受けなければいけません。
産業用ロボットの可動範囲内でティーチングや検査を行う業務、またはロボットの範囲外でこれらの作業に関係のある機器を操作する業務が該当します。労働安全衛生規則第36条第31号及び第32号で定められています。

ロボットに近い場所で作業する人はもちろん、離れた場所で作業する人も、機器の誤操作による事故を防ぐため、正確な知識と運転技能を身につける必要があるためです。

従業員への特別教育の実施は事業者に義務づけられているため、事業者の責任で必ず受けさせなければいけません。科目や時間についても厚生労働大臣によって定められております。

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